月々の法話

月々の法話

時は飛び去らない


 平成18年の正月を迎えました。「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る」などと言います。お正月を迎えたと思ったら、月日というものは、あっという間に過ぎていきます。
 歳をとると月日の経つのが早く感じられたり、楽しい時間はあっという間に過ぎて、辛く苦しい時間は長く感じるものでもあります。初めての体験では時間が進むのが遅く感じ、一度経験したことは、時間の進むのが早く感じられたりもします。小さい頃、時間の進むのが遅く感じるのは、そういう理由もあるかもしれません。七歳の子どもにとっての一年はそれまでの人生の7分の1、、七十歳の人にとっての一年はそれまでの人生の70分の1に相当する訳ですから・・・。

 道元禅師は『正法眼蔵』有事(うじ)の巻の中で、「山を渡り、河を渡った時のわれというものがあれば、われにその時があり、その時というものは、飛び去ってなくなるものではない」という事が述べられています。一般的には、過ぎ去った時はもう無いと考えますが、道元禅師は、「われ」という人間が存在する限り「その時」も存在し続けると示さています。人間は、その時その時を無駄にせず、いつも真剣に修行を続けることが大事だという教えだと理解して良いのではないかと思います。
  
 その人間が行った行為は、たとえ時が経過しても消えることはありません。時は飛び去らないのです。昨年も凶悪な事件や悲惨な事故が起こりました。その時の行為の結果から人間は逃れることは出来ません。一生ついて回るのです。

 その時、その時の自分に責任を持って生きていくことこそ人間に求められるものではないでしょうか。

2006-01-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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