月々の法話

月々の法話

奥尻島に咲いた梅一輪


 8月28日から9月4日まで、北海道第一宗務所を梅花特派で巡回してさきほど帰山しました。行きは特急白鳥で、帰りは寝台特急北斗星で、いずれも青函トンネルを通っての旅路でした。

 北海道巡回で楽しみにしていたことがあります。曹洞宗宗務庁が発行している月刊誌「禅の友」5月号の「梅一輪」のコーナーで、奥尻島の梅花講員さんのことが紹介されてました。原稿を寄せた芹田富美子さんは函館市古武井のお寺の奥さんです。奥尻島は、平成5年7月に地震と津波により大きな被害を受けました。津波で倒壊した本堂もその後復興し、お寺に梅花を学びたいという人が集ってきました。その奥尻の講員さんのために、車で2時間半、さらにフェリーで2時間15分をかけて指導に赴いていたのが芹田さんなのです。

 一日目の会場である函館市の北にある七飯町(ななえちょう)の宝琳寺さまで、講習を受けに来ていた芹田さんにお会いする事が出来ました。また、三日目の会場である、江差町小黒部(おぐろっぺ)の大円寺さまには、奥尻からも講員さんたちが講習を受けに来ていました。前日のフェリーで海を渡り、講習のあとは江差にもう一泊して、翌朝のフェリーで島へ帰るそうです。熱心な講員さんを前に、私も自分の持っている全てを伝えるつもりで精一杯講習を勤めました。講員の皆様の爽やかで温かな笑顔に見送られ会場を後にしました。梅花を通してつながるご縁の素晴らしさを深く心に刻んだ巡回でした。

 人生には辛い事や悲しい事いろいろあります。その辛い時に、悲しい時に、そこを乗り越えて歩んで行く力になってくれる人の存在があります。そんな人に出会うと、人間っていいなぁ~。と、思います。帰りの列車で渡島半島を南下しながら今回の巡回で出会った方々を思いおこしていました。

2009-09-05 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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