春は花 夏 ホトトギス・・・
ラオスは、東南アジアの他の国に比べ、子どもの物売りは少なかったのですが、ビエンチャンのタート・ルアンやルアンパバン郊外のパクウー洞窟などでは、小さな篭に入った小鳥を売る姿が見られました。お金を払って篭を買い、小鳥を放してあげるというものです。日本では、野鳥の捕獲や売買は禁じられていますので、考えられませんが、東南アジアではこのような光景が見られます。
話は変わりますが、道元禅師が詠まれたと云われているお歌に「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷しかりけり」 というのがあります。この歌は四季の情景をただ詠んだだというだけでなく、道元禅師のあつい思いが込められていますので、「春は花」ひとつをとっても奥の深い解釈が出来ます。ここでは、「夏ほととぎす」にちなんで話を進めたいと思います。
山で見られる夏鳥というと、ホトトギス、キビタキ、サンコウチョウなどがあげられます。ところが、今年袋田に現れ、一番賑やかに鳴いているのは「ガビチョウ(画眉鳥)」という鳥です。大きさはツグミぐらいなのですが周囲に響き渡る大きな声で鳴きます。このガビチョウと「ソウシチョウ(相思鳥)」は、中国や東南アジアで飼われている鳥で、もともと日本にいた鳥ではありません。それが、篭から放たれ自然界で繁殖するようになってしまったのです。ソウシチョウやガビチョウがこのまま繁殖域を広げていくと、ウグイスやホトトギスなど、日本に昔から住む野鳥が駆逐されてしまうだろうと心配する人もいます。
アライグマやハクビシンなどの外来野獣が神社仏閣などの文化財に被害を及ぼしている他、外来の野鳥が都市部の公園で異常繁殖しているという事例も増えています。人間のエゴで昔から日本に生息してきた動物に影響を与えることは、けして好ましい事ではないでしょう。ガビチョウの鋭い目を見てそんなことを考えました。来月は「春は花・・・」のお歌を考察して行きたいと思います。
ガビチョウの画像は住職のブログ「山寺日記」で御確認下さい。