月々の法話

月々の法話

のど元過ぎればとは言いますが・・・


 厳寒だったこの冬を物語るように、雪に覆われて3月が始まりました。
 あの東日本大震災から一年になります。いまだに仮設住宅で過ごす人、そして、故郷を離れて暮らさざるを得ない人のことを思うと、微力ながらも何とかしなければと思っています。そして、大切な人を失った心の痛みはどうすることもできないというのが現状です。
 一方、震災の時、あれだけ水の大切さがわかった。食べ物の大切さを再認識したと言っていた人たちが、一年たつと元の贅沢な生活に戻っているような気がします。夕方、各局のニュース番組の中で、豪華なレストランを紹介するコーナーがあり、食べ放題や大食いをテーマにするものまで放送されています。
 世界中には食べ物を満足に食べられない人、水を手に入れるのに大変な苦労をしている人が数えきれないほどいます。本当にこれでいいのかなと思ってしまいます。原子力発電には反対、被災地の瓦礫は受け入れたくない。と言いながら電気を使って、ごみを大量にだし、便利で豊かな生活を謳歌している日本人を見ると、日本は、不思議な国だなぁと思ってしまいます。
 便利な生活をしていく上で必要なゴミ処理施設、そして、なくてはならない火葬場などが近くに出来るとなると起きる反対運動が起きるのに構図が似ているように感じます。

 この冬、井戸水を使っているわが家は、水不足で、徹底した節水を心掛けました。そうした節水生活の中で改めて普段の生活では本当に膨大な量の水を使っているのだと思いました。人間は自分のことにならないと、当たり前の生活の有り難さを忘れてしまうようです。

 東日本大震災ではまだまだ大変な状況にいる方が大勢います。そうした中で自分に何ができるか考えた時に参考になるのは、そうした活動を続けてきた先輩方の言葉です。「一人で、いっぺんに大勢の人を救おうと思わなくてもいい、目の前苦しむ人がいたら、その人の話を聴いてあげるだけでもいいのだ。」ということです。難しく考え、行動しないのではなく、気軽に出来ることから、復興の手助けにつながることをし、そこに、つらい思いをしている人がいたら静かに寄り添うだけでいいのだと思います。けして、他人事、遠い世界の事と思わず、自分の事だと思って考えられることこそが大事だと思います。

2012-03-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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