寒くなんかないよね
1月から6月まで、茨城新聞の郷土紙批評を担当することになった。私は、上期を担当するので、毎月1日~15日までの記事を読んでの感想を寄せるという役目である。第一回のテーマは、おくやみ欄の役割について書かせて頂く予定で下書きを書いておいた。そんな時、菊池盛昌さんの訃報が届いた。翌朝茨城新聞のおくやみ欄で、改めて、確認し、そのことについて書かせて頂いた。「門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」この歌は室町時代の禅僧一休禅師が詠んだとされるが、実際は江戸時代の俗歌のようだ、その証拠に、一休禅師の生きた時代に一里塚はない。しかし、お正月ごとに死は確実に近づいている。
重度の脳性まひにより。車椅子での生活を送りながらも絵画や音楽、著作に多彩な才能を表した盛昌さん。メールで意思の疎通ができる様になってからは親しみを込めて盛くんと呼んでいた。昨年、龍泰院のロゴマーク作製をお願いした時も、快く了解してくれた。
茨城県立こども福祉医療センターに、盛昌さんの描いた「寒くなんかないよね」という雪の上にいる親子の馬の絵があるという。その絵に励まされたという方が掲示板に書き込んでくれた。実は、盛くんがメールを打つ時、一文字、一文字、苦労しながら打っていたようだ。大きな馬の絵を描くのも大変な事だったと思う。新聞記事ではあえて触れなかったが、絵の才能を育て、開花させたお父さんとお母さんの苦労は大変だったと思う。 そんな、彼の絵が人の心を打たないはずがない。生きる希望、思いの強さが、一筆一筆に込められているからだ。
午年の正月に旅立った盛くん、彼の絵はこれからもずっと希望を与えてくれることであろう。
2014-02-01 | Posted in 月々の法話 | Comments Closed