月々の法話

月々の法話

命の重さを感じて


7月23日は功多君の命日、近親者だけで静かに七回忌の法事が行われました。 今から6年前、功多君は、十二歳の時、梅雨が明けたばかり暑い日、友達と川遊びをしていて、水の事故で亡くなりました。愛情込めて育ててきた長男の突然の死に、お父さん・お母さんは、嘆き悲しみ、落胆振りは大変なものでした。お父さんの実家で営まれた葬儀の日は事故のあった日と同じとても暑い日でした。炎天下、同級生が大勢参列し、ご焼香していきました。参列したこども達は、子を失った親の悲しみがどれほど大きいのかを、そして、人が一人死ぬということはどれほど大変なことなのかを、身をもって感じたことと思います。NHKの朝の連続ドラマ『ちゅらさん』で「おばあ」が早く亡くなる子は、『命の大切さを人々に教えるために神様に選ばれた子供なんだよ』と恵理達に語るシーンがありました。身近な人の葬儀に参列し涙を流したり、涙を流す人を見るのは、子供たちにとって、貴重な経験になることでしょう。 お墓が整備されるまでの間、お寺で功多君のご遺骨を預かっていたのですが、毎月23日には、功多君の好きなものを持って、お父さんとお母さんがお参りに来ました。その頃、お母さんの後ろに恥ずかしそうに隠れていた功多君の弟が、今ではびっくりするほど大きくなっていました。一緒にお墓参りに行く時「身長何センチあるの?」って聞いたら、「180センチです。」とたくましく答えてくれました。高校でバスケットボールをやっているそうです。弟に「僕の分まで親孝行してくれよな」という功多君の言葉が聞こえてきそうな暑い夏の日でした。そして、功多君の弟も、お兄さんの死を乗り越え、命の大切さを感じながら成長してきたんだろうなと思いました。
2001-08-01 | Posted in 月々の法話Comments Closed 

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